生産地・農場紹介

株式会社沖縄県食肉センター

株式会社 沖縄県食肉センターってどんな会社?

「あぐー」の生みの親がここに!「あぐー」誕生までの道のり

当時誰も見向きもしなかったアグーの価値に気付き、現在の「あぐー」に育て上げたのは、何を隠そう直営農場専任部長の新里朝春さんだ。新里さんこそが、「あぐー」の生みの親なのである。

真っ黒な豚にひとめぼれ。原種「アグー」との出会い

新里さんが最初にアグーを見たのは、約30年前、入社して間もない頃だった。恩納村の農家で偶然出会ったのだ。農家のおじいさんに、「この豚、なんね?」と尋ねると「沖縄にしかいない豚よ」との答えが返ってきたという。新里さんは、家業が養豚業だった上、大学で畜産を学んでいたから、豚の知識はそれなりにあった。しかし、こんな真っ黒でずんぐりとした豚は見たことがなかったのである。家に帰って早速、養豚家のお父様にこの豚のことをたずねると「あー、その豚は脂しかつかん。生産には向かない豚よ」と、つれない口ぶり。そんな反応はお父様だけでなく、会社の上司も同様だった。「体が小さいから肉はとれんし、子豚を産む数も少ないさ。生産性が悪いから農家に勧められんよ」と。当時アグーは誰にも見向きされない豚だったのだ。
身近な人に反対されても、新里さんはこの豚を諦めきれなかった。なぜなら、沖縄にしかいない希少な豚ゆえ、アグー種という品種がブランドに成長するのではと思ったからだ。品種自体がブランドになることは世界でもとても珍しく、例としてもイベリヤ種を掛け合わせたイベリコ豚くらいだという。たいていの豚は、餌や飼育方法で差別化されているのである。新里さんは、あぐーが沖縄を代表するブランドに成長するだろうと、その価値をいち早く見出していたのだ。

「新里くん、西洋種と掛け合わせなさい」恩師の一言が転機に

新里さんの熱意ある説得で、会社はようやくアグー飼育のゴーサインを出す。早速県内にいるアグーを集め始めた。「農家は喜んで譲ってくれたよ。『もらってくれるならもらってくれ』ってね。脂ばっかりで売れないし、かといって殺すわけにもいかない。しょうがなくペットとして飼っているようなもんだったのよ。餌ばっか食べて、金食い虫だったわけ」。今となっては考えられないようなアグーの扱いである。
順調にアグーを集めるものの、出荷するにはまだまだ数が足りない。アグーを譲ってもらうため、戻し交配に成功していた北部農林高校へも出向いた。ここで新里さんは後々大きな影響を受ける大田朝憲先生と出会う。大田先生に、沖縄を代表するブランド豚を作りたいと熱い思いをぶつけ、めでたくアグーを譲ってもらえることになった。
アグーの頭数が増えてようやく出荷できるようになる。ところが脂身の多さを敬遠されて、全く売れなかった。そんな折、先の大田先生から貴重なアドバイスをもらうことに。「新里君、西洋種と掛け合わせなさい。そしたら脂身を適度に減らせ、産子数も増えるよ」と。畜産の教諭である大田先生は、アグーと様々な品種と掛け合わせる実験をしており、相性のいい豚をすでに知っていたのだ。この助言が現在の「あぐー」を生むきっかけとなる。 「大田先生がいなかったら、今のあぐーはなかった。大田先生こそが、あぐーの生みの親だよ」と新里さんは感謝の思いを込めて感慨深そうに言うのだった。

アグーが、メス豚に見向きもしない!

大田先生のアドバイスを受け、いよいよ「買ってもらえる」あぐー作りに挑むことに。しかしここでまた苦労が。体の小さいアグーには、自分の体の2倍以上もある西洋種のメスとの交尾は、とても大変なことだったのだ。「ビールケースを逆さに置いてよ、その上にオスを乗せて交尾させようとしたの。最初はアグーも必至に頑張ってくれるんだけど、うまくいかんさ。そのうちやめちゃって、メスに見向きもしなくなっちゃうの(笑)」。せっかくいい方法を教わったのに、肝心の掛け合わせがうまくいかない…。そこで新里さんは、当時まだ試験段階だった豚の人工授精に踏み切ることにする。その技術を学ぶため、茨城県にある全農中央研究所に飛んだのだった。

買ってもらえない「あぐー」から、世界の「あぐー」へ

人工授精の技術を沖縄に持ち帰り、なんとか無事出産にこぎつけた。それは平成7年のことだった。新里さんが初めてアグーを見たときから、10年以上の月日が流れていた。そこから頭数を順調に増やしていき、3年後には月間100頭も出荷できるように。「それからが一番大変だったさ。せっかくいい豚肉ができたのに、やっぱり買ってくれないのよ」。新里さんは、あぐーを買ってくれる販売店を見つけることに最も骨を折ったという。親会社のJAですら「まあ、これだったら売っちゃるか」程度の反応だった。そんな経緯があって、どうにかこうにかJAが運営するAコープで販売することとなった。
人気に火をつけたのは意外にも消費者だった。「夕方のタイムサービスでよ、安くなってたからたまたま買ったというお客さんが、『おいしかった』とまた買ってくれるようになったのよ」。さらには本土から取材が来て有名人がテレビで宣伝してくれたり、NHKの朝ドラ「ちゅらさん」でやってきた沖縄ブームに乗ったりと、あぐーの認知度が大きくあがっていった。
その人気を流行りで終わらせまいと、新里さんたちは、あぐーの本当のおいしさをしっかり広める努力を怠らなかった。特長であるさっぱりした脂身のおいしさを卸先の担当者たちに伝え、あぐーの厚い脂身を削らずに販売してもらうようお願いするなどもした。その努力の甲斐あって今では本土でも引っ張りだこに。そして「アグーは売れない」と言っていた新里さんのお父様も、息子が開発したあぐーを「おいしい」と食べてくれたそうだ。こうして「あぐー」は、沖縄を代表するブランド豚になったのである。

株式会社 沖縄県食肉センターの飼育のこだわり

脂身の弾力にこだわり、トウモロコシの量を調節

あぐーの軟らかくもコリッとした脂身づくりに一役買っているのが、脂を軟らかくする効能を持つトウモロコシ。では増やせば増やすほどいいのでは?と素人目には思うが、軟らかすぎるのもよくないとのこと。あまりに軟らかいと脂がダレてしまうのだ。脂の質で肉の締まりやキメが変わるので、少しの差を見極めて、最適な脂の弾力を追求している。

安定したおいしさのヒミツ

沖縄県食肉センターは、直営農場や預託農場を多く持つ大農家。大農家の場合、各農家ごとにバラつきが出やすく、品質を一定に保つのは難しい。そこで同社は、子を増やす繁殖農場は直営農場でだけと決めた。アグーの血統を汚さないよう、目を行き届かせるのだ。血が濃くなる近親交配がないか、他の品種が混ざらないかをしっかり管理するのである。そして餌は、直営農場でも預託農場でも、品質管理された同じものを与えている。血統や餌をきっちり管理することで、あぐーの品質を一定に保っているのである。

株式会社 沖縄県食肉センターのあぐーはどんな味

特筆すべきは、脂部分のキメ細やかさ

脂部分の軟らかさにこだわって、餌を微調整しているだけある!脂身はキメ細やかで、さらっとしているのだ。ふんわりとした優しい香りとともに、旨みや甘みをしっかり感じることができる。煮込んでもアクがほとんど出ないのは驚きである。

株式会社 沖縄県食肉センターのあぐーどう食べる?

しゃぶしゃぶなら塩で。あえて厚切りにして、軟らかさを堪能するのもイイ

あぐーの旨みや甘みを一番感じられるのは、やはりしゃぶしゃぶだと社員さんは口を揃える。たれではなく、少量の塩を付けると、あぐーの甘みがより引き立つのでおススメだ。
また、厚切りロースのステーキも人気の一品。厚くても軟らかいので、スルッとお腹におさまってしまう。ある社員さんは、すりおろしたにんにくをすりこんでから焼くそうだ。「脂の焼けた香りに、にんにくの香ばしい香りが加わってたまらない」と教えてくれた。

お問い合わせ先・ご購入について
株式会社沖縄県食肉センター
tel : 098-945-3029
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